大豆はどうやって作られる?種まきから収穫までを図解

大豆の子葉、地上の莢を付けた株、乾いた豆を並べた疑問型イラスト

大豆は、種をまいて根や葉を育て、花のあとにできた莢の中で豆を太らせて作ります。成熟した株から豆を収穫し、乾燥と選別で出荷用に整えます。

乾いた丸い大豆は、根の先ではなく、地上にできる「莢(さや)」の中で育ちます。莢は豆を包む部分で、食べている豆は、大豆という植物の種子です。

まずは「畑で種子を育てる仕事」と「収穫した豆を整える仕事」を分けると、全体が見えます。この記事では、乾燥した豆として出荷する大豆の商業生産を追います。

種まき、根と葉の生育、花と莢、収穫後の仕事を上から下へ示した図
図1:畑で豆を育て、収穫して出荷用に整える全体像。途中の管理・成熟は後の図で詳しく見ます。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
目次

大豆は、地上の莢の中で種子を育てる

大豆の株には、葉だけでなく小さな花も付きます。そのあと莢が伸び、莢の中の種子が大きくなります。莢は豆を包む部分、豆はその中の種子です。

緑の莢の中で豆が膨らんだ、まだ成熟していない段階で収穫すると「枝豆」になります。乾燥大豆として出荷する場合は、そこから成熟するまで育てます。枝豆を収穫してから水分を抜く作業と、畑で大豆の種子を成熟させることは、同じではありません。

植物の変化と、人が行う仕事を並べると、次のようになります。

大豆の状態生産者や施設が行う仕事
種畑を整え、種をまく
根と葉が伸びる株水や雑草などを管理する
花が咲き、莢と豆が育つ株生育を見て必要な管理を続ける
豆が成熟した株刈り取り、莢から豆を外す
収穫した豆乾燥・選別して出荷用に整える

作業月は全国共通ではありません。品種や気温などによって進み方が変わるため、ここでは月よりも、植物の状態と仕事の順序で見ていきます。

種まき前に排水を整え、土に種をまく

大豆づくりは、種をまく前の畑づくりから始まります。大豆は、水が溜まり過ぎた土で受ける「湿害」に弱いためです。とくに、米を作っていた水田を大豆の畑に使う場合、余分な水を外へ逃がす排水対策が重要になります。

生産者は排水の条件を整えた畑に種をまきます。種をまく作業を「播種(はしゅ)」といいます。JA幕別町の例では、播種機を使って複数の列へ種をまいています。

土の中で種が水を吸うと、まず根が伸びます。続いて、種の中にあった「子葉(しよう)」を持ち上げるように、芽が地上へ出ます。子葉は、発芽したばかりの株に見える一対の厚みのある部分です。

水を避ければよい、というわけではありません。種が発芽するための水は必要で、土に水を溜め続けないことと区別します。

畑から溝へ水を逃がす平面図と、根、持ち上がる子葉、地上の芽の順を示した断面図
図2:上は余分な水を外へ逃がす考え方、下は発芽の変化です。土の深さや設備の実寸、全国共通の排水設計は示しません。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

大豆の芽は子葉を上げ、葉を広げて育つ

芽が出たあとには、子葉の間から最初の葉が現れます。この葉を「初生葉(しょせいよう)」と呼びます。その後、さらに葉が増えていきます。

大豆の初生葉は一対の葉です。そのあとに出る本葉は、小さな葉が三つ集まって一組になる形です。発芽直後と、その後の株では、見えている葉の形が違います。

葉が広がると、葉が光を利用して株の成長を支える「光合成(こうごうせい)」が重要になります。畑に種を置いただけで豆が増えるのではなく、根や葉を持つ株を育てる段階が先にあります。

厚い子葉一対、最初の単葉一対、三つの小葉を持つ本葉を比べた図
図3:葉の形の違いを分けて見る図。葉柄(ようへい)は葉を茎につなぐ柄の部分です。子葉を三小葉として描いていません。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

株が育つ間、生産者は大豆だけでなく、周りの草や土の状態も見ます。

生産者は水・雑草・病害虫を見ながら大豆を育てる

大豆に必要なのは、排水だけではありません。雨が少なく土が乾き過ぎれば、大豆は水不足による「乾燥ストレス」を受けます。農研機構も、大豆生産では湿害の防止と乾燥ストレスの低減の両方が重要だと説明しています。

生産者は天候と土の状態を見て、必要に応じて水を補うなどの管理をします。水を与える「かん水」をするかどうかも、畑の条件によって変わります。

雑草は、大豆と水・養分・光を競い合います。そこで、生産者は雑草を抑え、大豆が育つ環境を整えます。農水省の栽培体系には、列の間の土を浅く耕す「中耕(ちゅうこう)」や、株元へ土を寄せる「培土(ばいど)」も示されています。

ただし、すべての大豆栽培で中耕・培土を同じように行うわけではありません。農水省は、土を耕さずに種をまく方法や、培土をしない栽培方法の資料も案内しています。

病気や害虫から株を守る仕事もあります。生産者は栽培体系や生育の段階に応じて防除を行い、豆を育てる株を維持します。

水が多すぎないか、乾きすぎないか、雑草が増えていないかを生産者が見る三つの場面
図4:畑の条件を見て必要な管理を選ぶ考え方。全農家共通の作業順・必須作業、実在する人物を示す図ではありません。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

畑の管理は、全国で同じ作業を繰り返すことではありません。その畑で大豆が育つ条件を整える仕事です。

大豆の花のあとに莢が伸び、豆が太る

大豆には、紫系や白色の小さな花が咲きます。豆だけを見ると想像しにくいですが、莢ができる前には開花の段階があります。

大豆の花は、主に同じ花の花粉で受粉する「自家受粉」をします。受粉を経て育つ莢の中で、種子が大きくなります。

ここで区別したいのは、「莢ができること」と「中の豆が太ること」です。莢が見えた時点で、出荷する豆が完成したわけではありません。

小さな紫の花、伸びる緑の莢、莢の中で太る種子を上から下へ示した図
図5:莢と中の種子は別の部分です。図は変化の順で、一株の花と莢が一斉に切り替わるわけではありません。花の色や莢の中の豆数は一例です。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

一つの株に、花と成長中の莢が同時に見られることもあります。また、葉や茎の成長と、花や莢の成長が重なる時期もあります。図は変化の順を示す概念図で、株全体が一斉に切り替わる工程表ではありません。

豆が膨らんだあとは、成熟を待って収穫します。

大豆は成熟後に収穫し、莢から豆を外す

大豆が成熟に向かうと、通常は葉が黄色くなって落ち、莢や茎も乾いていきます。緑の莢を収穫する枝豆とは、この時点の株の姿が違います。

ただし、葉が落ちたかどうかだけで収穫を決めることはできません。莢が熟しても、茎や葉が緑のまま残る「青立ち(あおだち)」という現象があるからです。緑の茎や葉は収穫を難しくし、その汁で豆が汚れることもあります。

収穫では、成熟の状態に加えて、茎・莢・豆の水分や濡れにも注意が必要です。山口県で2001〜2005年に品種「サチユタカ」を調べた研究では、高水分や露による粒の汚れ、収穫を遅らせ過ぎたときの莢の割れなどが報告されています。適期の判断は地域・品種・天候によって異なります。

大豆を収穫する方法の一つが、コンバインです。JA幕別町は、刈取りと脱穀を一緒に行う方法として紹介しています。「脱穀(だっこく)」は、莢から豆を外す仕事です。

成熟した株からコンバインへ進み、取り出した豆と茎・莢のかけらへ分ける収穫図
図6:コンバインが刈取りと脱穀を一緒に行う方法の概念図。機械内部の構造や全生産者共通の方法は示しません。成熟の判断では青立ちなど本文の例外にも注意が必要です。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

刈り取るのは株、次へ運ぶのは取り出した豆。収穫の工程で、畑の植物と出荷する原料が分かれます。

収穫した大豆は乾燥と選別で出荷用に整える

収穫した豆は、そのまま全量を袋に詰めて終わりではありません。水分や異物、粒の状態を整える仕事があります。

乾燥は、豆の水分を減らし、貯蔵性と品質を保つために行います。ただし、急激に乾かすと皮の割れやしわなどにつながることがあります。施設では、豆の状態に合わせた乾燥が必要です。

選別では、豆と一緒に混ざった異物や製品にならない粒を除き、粒の大きさや形、色などを見て分けます。こうした出荷前の作業を「調製(ちょうせい)」と呼びます。

収穫後の仕事何を変えるか・分けるか目的
乾燥豆の水分を減らす貯蔵性・品質を保つ
異物や不適合粒を除く選別豆と、それ以外のものを分ける出荷する原料を整える
大きさなどによる選別出荷する粒を区分する粒径などを揃える

表の仕事は、施設によって組み合わせが異なります。大きな異物を除く「粗選(そせん)」が、乾燥前に入る工程例もあります。乾燥のあとに初めてすべての選別をする、と固定した順序ではありません。

JA幕別町の紹介でも、脱穀した大豆を農協へ出荷し、施設で選別・袋詰めする流れが示されています。畑の生産者から施設の担当者へ、豆を届ける仕事が続きます。

大豆づくりは、種子を育てて出荷するまでの仕事

種まき、根と葉の生育、開花と豆の肥大、成熟、収穫脱穀、乾燥選別を順に示した六段階の図
図7:育てる仕事と収穫後の仕事をまとめた図。畑での成熟と人工乾燥は別です。乾燥・選別の設備順は施設で異なり、粗選が乾燥前に入る例もあります。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

大豆づくりでは、種から根や葉を育て、花のあとにできる莢の中で次の種子を太らせます。生産者は水や雑草などを管理し、成熟した豆を収穫します。

収穫では莢から豆を外す脱穀を行い、取り出した豆を乾燥・選別して出荷用に整えます。コンバインは刈取りと脱穀を一緒に行いますが、刈取り後に脱穀する方法もあります。畑で豆が成熟することと、施設で豆を乾燥させることは、別の工程です。

乾いた一粒の大豆には、莢の中で種子を育てる農業と、出荷する原料に整える収穫後の仕事がつながっています。

参考・出典

確認日:2026年10月8日(既存資料を再検証)。作業月や収穫条件は地域・品種によって異なるため、資料にある地域例を全国共通の暦としていません。

編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

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この記事を書いた人

best earth編集部のアバター best earth編集部 食べものの疑問を、農業から読み解く編集部

食べものの「なぜ?」を、農業から解き明かす編集部です。公的機関・大学・研究機関などの一次情報を確認し、作り方、育つ仕組み、産地、環境、技術を図解でわかりやすく紹介します。

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