じゃがいもは土を掘って収穫します。では、食べるいもは、土の中でどうやって増えるのでしょうか。
生産者は「種いも」を植えて株を育て、地下に新しくできるいもを土で覆い、状態を確かめて収穫します。その後も選別や貯蔵で品質を整えて出荷します。 植えた種いもが、そのまま大きな収穫物になるわけではありません。
ここでは、畑で販売用のじゃがいもを生産する工程を見ます。家庭菜園の植え方ではなく、生長と生産者の作業をつなぐ解説です。

生産者は、種いもの芽から新しいじゃがいもの株を育てます
「種いも」は、植えるために用意するじゃがいもです。通常の生産では、小さな植物学上の種子をまくのではなく、いもにある芽から新しい株を育てます。
生産者は、検査に合格した種いもを用意し、必要に応じて芽の出方を揃える準備をします。北海道のJAきたみらいでは、植える前に光に当て、短く丈夫な芽を育てる工程を紹介しています。
一方、秋植えで種いもの「休眠」、つまり芽が伸びにくい状態が十分に終わっている場合は、この光に当てる準備が不要なこともあります。切って植えるかなども条件に合わせます。種いもの準備は、すべての作型で同じではありません。

新しいじゃがいもは、地下に伸びる茎の先にできます
芽が伸びて株が育つと、土の中では「ストロン」という茎が横へ伸び、その先が太って新しいいもになります。茎が太った部分を「塊茎(かいけい)」と呼びます。これが収穫するじゃがいもです。
図では、植えた種いもを「母いも」として残し、新しいいもとは分けています。細く枝分かれする根も、横へ伸びる茎とは別の器官です。地下にあるからといって、食べるじゃがいもが根とは限らないのです。

じゃがいもの葉が作った糖は、地下のいもへ送られます
土の中でいもが膨らむ一方、地上の葉も重要な働きをしています。葉は「光合成」、つまり光を使って糖などを作る働きを行います。
作られた糖は、茎の中の通り道を通って発達中のいもへ運ばれます。いもでは、その糖をもとにでんぷんが作られ、蓄えられます。葉でできたでんぷんの粒がそのまま流れる、という説明ではありません。
地上の茎と葉を育てる段階と、地下でいもが太る段階はつながっています。掘って見えるいもだけでなく、葉の働きも収穫物を作っているのです。

じゃがいもの土寄せは、育つ場所を確保して光から守ります
畑のじゃがいもの株元には、土が山のように盛られています。株元へ土を寄せる作業を「土寄せ」、技術資料では「培土(ばいど)」といいます。
この作業は、新しいいもが太る場所を確保し、いもを土で覆うために行います。土が覆いになることで、いもに光が当たるのを防ぎます。土寄せの高さや時期を、全国で同じ一回の作業に固定することはできません。
光から守るのは、見た目だけの問題ではありません。農林水産省は、長く光が当たると天然毒素が増えることがあると説明しています。ただし、緑色は葉緑素の色であり、毒素そのものの色ではありません。色だけで毒素の量を判断できるわけでもありません。

生産者は、じゃがいもの葉と畑の状態を見て管理します
じゃがいもを植えた後は、土を盛るだけで終わりではありません。生産者は葉や畑の状態を見て、必要な作業を変えます。
| 生産者が見るもの | 作業の目的 |
|---|---|
| 畑の乾き方・水のたまり方 | 乾燥時は水を補い、過湿時は排水を整える |
| 土にある養分と品種・用途 | 肥料の種類や量を調整する |
| 葉や畑の病気・害虫 | 地域の発生情報も使い、必要な対策を行う |
表の根拠:県の普及担当者によるかん水の解説(2022年5月改訂)と農林水産省の生産技術資料(公表年月未確認)。いずれも2026年10月1日確認。水や肥料を全国一律に増やす手順ではありません。
同じ畑に作物を続けて植えることによる病害を避けるため、地域の条件に合わせて別の作物を順に育てる「輪作」も行います。水や肥料は多ければよいわけではなく、土の状態と育てるいもに合わせるものです。
植える季節も一つではありません。長崎県の普及担当者の資料は、暖地での春作と秋作を紹介しています。栽培時期・方法の組み合わせを「作型」と呼び、この記事は共通する流れを説明しています。地域別の暦を一つに揃えたものではありません。
じゃがいもは、試し掘りで状態を確かめてから収穫します
収穫の前には、一部を掘る「試し掘り」で、いもの育ち方を確かめます。地上の葉だけでなく、収穫対象そのものを見るのです。
作型によっては、収穫前に茎と葉を刈り取る「茎葉処理」を行います。JAきたみらいは、茎葉処理と、その後の収穫前に皮がむけにくくなったことを確かめる工程を紹介しています。生産者は葉の自然な黄化だけを唯一の合図にせず、いもの状態と作業条件を確認します。
掘り取りでは、皮むけ・傷・打撲を抑えることも大切です。生産者は土が過度に湿った時を避け、収穫機の設定や速度を調整します。収穫は、土から出すことと、いもを傷めないことの両方を考える作業です。

じゃがいもは、選別と貯蔵を経て出荷されます
掘り取ったいもは、そのまますべてを箱へ入れるわけではありません。生産者や選果場は、病気や傷のあるいもを除き、出荷するものを整えます。長崎県の普及資料には、日陰で表面を乾かしてから選別し、選果場へ送る工程が記されています。
貯蔵する場合は、用途に合わせて条件を変えます。食卓向け、加工向け、次の作付けの種いもでは、守りたい品質が異なるためです。農林水産省の工程解説も、用途別の貯蔵を説明しています。ここでいう貯蔵は商業生産・流通の工程で、家庭の冷蔵庫での保存方法ではありません。
じゃがいも作りは、新しいいもを育て、傷めず届ける工程です

じゃがいもは、種いもの芽から株が育ち、地下に伸びる茎の先に新しいいもができる作物です。葉が作った糖がいもへ送られ、生産者は土寄せや畑の管理で育つ条件を整えます。最後にいもの状態を確かめて掘り取り、選別と必要な貯蔵を経て出荷します。「種いもから新しいいもを育てること」と「収穫後も品質を守って届けること」が、じゃがいも作りの全体像です。
参考・出典
本文と図は原典をもとにした編集上の説明です。圃場での取材・実験はしていません。図解はAI生成の模式図で、実際の圃場や機械を撮影した写真ではありません。
- 農林水産省:ジャガイモができるまで — 種いも・用途別貯蔵の概要。公表年月未確認、2026年10月1日確認。
- 農林水産省:ばれいしょ栽培のポイント — 種いも、土寄せ、生育管理、試し掘り・収穫・調製。地域や作型による適用条件を含む。公表年月未確認、2026年10月1日確認。
- JAきたみらい:栽培・出荷までの流れ — 同地域の芽の準備・茎葉処理・収穫。公表年月未確認、2026年10月1日確認。
- みんなの農業広場:県の普及担当者による栽培体系 — 長崎県の平野元氏による作型、かん水、調製・出荷の説明。2022年5月改訂、2026年10月1日確認。
- FAO:じゃがいもの形態と生育段階 — 原題はInternational Year of the Potato 2008: New light on a hidden treasureのThe potato。2008年の国際ジャガイモ年資料、2026年10月1日確認。日本語のリンク名は内容説明で、公式邦題ではありません。
- Hastilestariら:葉といもの糖輸送を扱う研究 — 2018年6月5日公開、Introductionの生理学的背景を参照。品種Agriaの高温試験結果を全国共通の栽培条件として使っていません。2026年10月1日確認。
- 農林水産省:じゃがいもの天然毒素Q&A — 2022年2月7日作成。光と緑色の説明を参照、2026年10月1日確認。
編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

