豆腐は、大豆に水を吸わせて砕き、加熱・分離して取り出した豆乳を、凝固剤で固めて作ります。大豆を丸ごと四角く固めるのではありません。豆乳を取り出すときに、おからが分かれます。
売場の白い豆腐と、丸い大豆。姿が違いすぎて、途中の仕事は想像しにくいかもしれません。まず豆乳までの工程を追い、次に木綿・絹ごし・充填の違いを見ていきましょう。

大豆は水を吸わせて砕き、呉にする
製造者は、原料の大豆を選別して小石などを取り除き、水洗いしたあと、水に浸します。大豆に水を吸わせるこの作業を「浸漬(しんせき)」といいます。浸す時間は水温や気温で変わり、一律ではありません。
水を吸った大豆は、水を加えながら機械で細かく砕きます。できるのが「呉(ご)」、つまり大豆と水が混ざったどろどろのものです。加熱前の呉は「生呉(なまご)」とも呼びます。
| 作業 | 入れるもの | 作業後の姿 |
|---|---|---|
| 水に浸す | 洗った大豆と水 | 水を吸った大豆 |
| 水と砕く | 吸水した大豆と水 | 呉 |
| 加熱・分離 | 呉 | 豆乳とおから |
| 固める | 豆乳と凝固剤 | 豆腐のかたまり |
白く見えても、呉と豆乳はまだ同じではありません。ここから「取り分ける」仕事が入ります。
加熱した呉を分けると、豆乳とおからになる
代表的な製法では、製造者が呉を加熱してから、こし分けて豆乳とおからにします。農水省の製法説明や、厚労省が掲載する豆腐製造業界の手引書にも、この順序が示されています。
液体側の豆乳には、大豆から取り出したタンパク質などの成分が含まれます。一方、こし分けたあとに残る繊維などを含む部分が、おからです。おからは、豆腐を切ったときの切れ端ではなく、豆乳を取り出す段階で分かれるものです。

ただし、加熱と分離の順番がすべて同じとは限りません。農水省が紹介する白山麓の堅豆腐では、白峰地域は呉を煮てから分離し、桑島地域は先に生豆乳を絞り、その後に加熱する工程を採っています。本稿の図は、加熱後に分離する代表例です。
豆乳まで取り出せても、この時点ではまだ液体です。どうすると、形のある豆腐になるのでしょうか。
豆乳は凝固剤の働きで、水を含んだかたまりになる
製造者は、豆乳に「凝固剤」を加えます。凝固剤とは、豆乳を固めるための材料です。にがりはその一つで、塩化マグネシウムを主成分とします。ほかに硫酸カルシウムなども使われ、豆腐を固める材料はにがり一種類だけではありません。
固まった豆腐の中では、タンパク質が網目のような構造をつくり、水を含んでいます。「水を含んだ骨組みができる」と考えると、液体だった豆乳が柔らかいかたまりになる様子をつかみやすくなります。

凝固剤を入れるだけで、どんな豆乳も同じ仕上がりになるわけではありません。豆腐製造者のライクスタカギは、豆乳の温度・濃度、煮沸の条件、凝固剤の種類・量、混ぜ方などで豆腐の特性が変わると説明しています。これは同社の工程説明を踏まえた例で、全製品へ同じ分量や温度を指定するものではありません。
ここでの中心は、豆乳を固める仕事です。完成した製品を冷やす仕事とは、分けて考えます。
木綿・絹ごし・充填は、固め方と容器に入れる順が違う
木綿豆腐は、豆乳をいったん固め、そのかたまりを崩してから、布を敷いた型へ入れます。そして圧力をかけて水を抜き、形を整えます。この「押して水分を絞る」作業が圧搾(あっさく)です。
絹ごし豆腐は、豆乳と凝固剤を型の中で混ぜ、全体を固めます。木綿のように、固めたものを崩して圧搾する工程はありません。一般に木綿より濃い豆乳を使います。
名前に「絹」とありますが、絹の布で豆乳をこす製法ではありません。きめ細かくなめらかな姿を、木綿の質感と対比して呼んだ名前です。
充填(じゅうてん)豆腐では、いったん冷却した豆乳に凝固剤を加え、容器へ入れて密閉し、その容器の中で加熱して固めます。「先に容器に入れてから固める」という順番が、型で固めてから切り分ける工程との違いです。
| 種類 | 固め方の特徴 | 容器・型との関係 |
|---|---|---|
| 木綿 | 固めて崩し、圧搾 | 布を敷いた型で脱水 |
| 絹ごし | 豆乳全体を凝固 | 型の中で固める |
| 充填 | 容器の中で加熱凝固 | 密閉してから固める |

どれも豆乳を固める豆腐ですが、途中の仕事は同じではありません。表は代表的な製法の比較で、すべての商品や地域の製法を網羅したものではありません。
作り手は加熱と冷却を管理し、豆腐を届ける
製品の形ができても、製造者の仕事は終わりません。手引書は、原料由来の微生物への対応として加熱の温度・時間を確認し、包装や加熱の後は速やかに冷却し、冷蔵庫や販売ケースも管理することを示しています。
充填豆腐には、凝固剤を加える前の豆乳の冷却と、容器内で加熱・凝固したあとの製品の冷却があります。同じ「冷やす」でも、工程上の位置が違います。固めることと、できた豆腐の状態を保って届けることは別の仕事です。
包装後の加熱処理や設備は製法・製品で異なります。本稿は工場の衛生管理手順を代替するマニュアルではありません。個々の商品については、保存方法と期限の表示を確認する必要があります。
豆腐づくりは、取り出す・分ける・固めるの仕事

大豆から豆腐へ姿を変える途中には、三つの大きな仕事があります。水とともに砕いて成分を取り出し、豆乳とおからに分け、豆乳を凝固剤で固めることです。その後の崩し・圧搾や容器内の加熱によって、製品の違いが生まれます。
原料の大豆ができるまでの畑の仕事は、大豆の栽培工程で解説しています。同じ大豆を未成熟の段階で収穫する枝豆については、枝豆と大豆の違いへ。
豆腐は、大豆そのものを押し固めた食品ではなく、取り出した豆乳を固めた食品です。 この途中の分離と固め方を見ると、豆・豆乳・おから・豆腐のつながりが分かります。
参考・出典
確認日: 2026年10月10日。画像はAIによるイメージをもとにbest earth編集部が作成した概念図です。実在の工場・設備・微視的構造の写真ではありません。
- 農林水産省「豆類加工品」製造方法:豆乳・おからの分離、木綿と絹ごしの製法。
- 日本豆腐協会・全国豆腐連合会「豆腐・豆乳・オカラ編」手引書(厚労省掲載PDF):印刷2・4・5頁の対象製品と工程、印刷1・3頁の加熱・冷却管理。
- 日本豆腐協会「豆腐のあれこれQ&A」:Q2凝固剤、Q6工程、Q7充填、Q12生呉。
- 日本豆腐協会「豆腐の原料・作り方」:木綿と絹の製法・名称、タンパク質の網目と水。
- ライクスタカギ「大豆から豆腐が出来るまで」:製造者自身による工程と凝固条件の説明。
- 農林水産省「堅豆腐」製造方法:加熱と分離の順が違う地域例。
- 日本化学会近畿支部・質問コーナーQ160:タンパク質の網目と水の解説(2008年11月27日)。

