小麦から小麦粉になるまで|製粉工程を図解

小麦粒と小麦粉を並べて粉になる仕組みを問うイラスト
疑問の入口。小麦粒と粉のイメージで、実際の製造現場の写真ではありません。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

小麦粉の袋を開けると、中には細かな白い粉が入っています。茶色い小麦の粒が、どうしてあの姿になるのでしょう。粒を一度すりつぶすだけではありません。

普通の白い小麦粉は、主に粒の中の「胚乳」を取り出して作ります。工場では異物を除き、水で粒を調整してから、砕く・ふるう・風で分ける作業を繰り返します。採れた粉を組み合わせ、性質や出荷状態を確かめて仕上げます。

ここでは、国内の製粉工場で使われる代表的な「段階式製粉」を見ていきます。これは、小麦の粒を少しずつ砕き、粉になる部分と外側の皮を分ける方法です。畑で育てる工程ではなく、収穫した小麦粒を工場で小麦粉へ変える工程が主題です。

粒を整える、砕いて分ける、粉を仕上げる順の三段階図
図1:段階式製粉の役割を三つにまとめた全体像。個別の工場設備や経路を省略しています。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
目次

小麦粉のもとは、粒の中の「胚乳」

小麦粒の内側には、でんぷんやたんぱく質を含む胚乳(はいにゅう)があります。普通の小麦粉の中心になる部分です。外側を包む表皮は「ふすま」「ブラン」とも呼ばれ、粒の一部には、やがて芽へ育つ部分である胚芽(はいが)があります。

普段の小麦粉を作るときは、表皮や胚芽を除いて胚乳を粉にします。一方、全粒粉(ぜんりゅうふん)は、表皮・胚芽を含む粒全体を使った粉です。すべての小麦粉が、同じ部位だけを使うわけではありません。

小麦粒の内側の胚乳、外側の表皮、端の胚芽を示す模式図
図2:普通の小麦粉に使う部位を説明する模式図。部位の比率・実寸・組織の細かな層は示していません。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
粉の種類使う部位の違い
普通の白い小麦粉主に胚乳。表皮・胚芽を取り分ける
全粒粉胚乳に加え、表皮・胚芽も含む

出典:日清製粉グループ「小麦の構造と全粒粉」。代表的な違いを示しています。

白い粉になる理由を考えるには、「どれだけ細かくするか」だけでなく、「粒のどこを粉にするか」を見る必要があります。次に、その部分を分けやすくする準備です。

製粉工場は、異物を除いてから小麦に水を加える

最初は精選(せいせん)です。製粉する前に、健全でない小麦や異物を取り除きます。小麦の外側の皮を取り分ける工程とは別の、原料を整える作業です。

続いて水を加え、粒を製粉に向く状態にする調質(ちょうしつ)を行います。水を含ませると、内側の胚乳は砕けやすくなり、外皮は細かく砕けにくくなります。この差を作ることで、外皮から胚乳を分けやすくするのです。

「粉にするのに、なぜ水?」と思うかもしれません。ここでの水は、生地をこねるためではなく、粒の砕け方を調整するために使います。水の量やねかせる時間を、すべての小麦で同じと考えることはできません。

精選で異物を取り除き調質で水を加えて粒を整える二段の図
図3:精選と調質は別の準備です。水は生地づくりではなく、小麦粒を分離しやすくするために加えます。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

作る小麦粉の用途に合わせて、原料の小麦を組み合わせる「配合」も行います。これは小麦粒どうしの組み合わせです。後で、採れた粉を組み合わせる作業も出てくるので、二つを分けて覚えておきましょう。

この準備を終えた小麦は、農水省が示す段階式製粉の工程へ進みます。

製粉では、砕く・ふるう・風で分ける作業を繰り返す

最初のロール機は、向かい合ったローラーで小麦粒を開くように砕きます。表面に溝のあるブレーキロールを使い、外皮を細かく砕き過ぎないようにしながら、粗い胚乳を分けます。この作業が破砕(はさい)です。

砕いたものは、シフターというふるいの機械へ送ります。ここで粒の大きさごとに分け、十分に細かくなった粉を取り出します。まだ大きい粒は、次の処理へ回します。

ただし、大きさで分けるだけでは、粗い胚乳に外皮の破片が混ざります。そこでピュリファイヤー(純化機)を使い、ふるいと風で分けます。外皮と胚乳の重さの違い、正確には「同じ体積で比べた重さ」の違いを利用する工程です。

外皮を分けた胚乳は、溝のないスムースロールでさらに細かくします。この粉砕(ふんさい)の後にも、ふるいで粉を採ります。まだ粗いものは、分離と粉砕を繰り返します。

ふるいで細かい粉を採り粗い粒は風で分離してロールへ戻す概念図
図4:粉を採りながら粗いものを繰り返して処理する概略。実際には複数の経路があり、採れた粉をすべて戻す意味ではありません。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
機械・作業主な仕事次へ進むもの
ブレーキロール粒を開くように砕く外皮と粗い胚乳など
シフター大きさでふるい分ける採取する細かい粉/次に処理する粗いもの
ピュリファイヤー風とふるいで外皮を分ける外皮を分けた粗い胚乳
スムースロール胚乳を細かく砕く再びふるいにかける粉砕物

出典:製粉振興会の破砕・純化・粉砕の説明、日清製粉グループのふるい分けと反復の説明。機械の役割をまとめた表で、実工場の全経路を示すものではありません。

ここで重要なのは、採れた細かい粉まで全部戻すのではないという点です。粉はその都度取り出し、まだ粗いものを次の処理へ送ります。「一度砕いて終わり」でも、「全部を同じ場所へ循環させる」でもありません。

製粉で採れた粉は、性質を見て組み合わせる

工程の途中で採れた粉は、どれも同じ性質ではありません。製粉工場では、成分や性質を見て粉を組み合わせ、均一に混ぜて、目的の小麦粉へ仕上げます。先ほどの原料配合が「小麦同士」だったのに対し、ここでは「採れた粉同士」を組み合わせます。

強力粉・中力粉・薄力粉の違いも、粉の細かさだけで決まるわけではありません。原料小麦の性質や、たんぱく質の質・量も関わります。袋の名前には、ただ挽き方を細かく変えた以上の違いがあるのです。

取り分けた外皮は、ふすまという副製品になります。主な行き先は家畜の飼料です。製粉前に除く石などの異物と違い、小麦由来の部位を別の用途へ届けています。

製粉工場は、粉の性質と出荷状態を確かめる

機械が動いていても、人の確認は残ります。日清製粉グループは、同じ品種でも水分や硬さに違いがあるため、小麦の状態を見てローラーの間隔などを調整し、途中の粉も確認すると説明しています。

出来上がった粉は、成分だけを見て終わりではありません。同社の例では、水を加えた生地の性質を調べ、パンや麺などに加工したときの状態も試験します。小麦粉を使う人が、目的の食品を作れるか確かめるためです。

家庭用の袋詰め工程については、包装や賞味期限の印字、金属の混入、重量などを確認して出荷すると紹介しています。これらは同社の工程例であり、すべての工場や出荷方法が同じ設備・順序だという意味ではありません。

参考:日清製粉グループの製粉・加工試験、包装・検査・出荷の紹介。

小麦粉づくりは、胚乳を取り分けて仕上げる工程

精選と調質から製粉を繰り返し配合と検査で仕上げ、ふすまを別に取り分ける図
図5:代表的な役割のまとめ。原料配合や個別のふるい分岐は本文で補い、実工場の配管図とは区別しています。 AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

普通の白い小麦粉は、主に小麦の胚乳を使います。工場は原料を整え、胚乳と外皮を分けながら、砕く・ふるう工程を繰り返します。採れた粉は性質を見て組み合わせ、検査して出荷します。

袋の中の白い粉は、単に粒を細かくした結果ではありません。使う部位を分け、粉の性質をそろえる工程を経たものです。粒から粉への変化は、この二つをつなげると理解できます。

小麦の種まきから収穫までの流れは、「小麦はどうやって作られる?」で図解しています。

参考・出典

資料確認日:2026年10月1日。図は工程の役割を示す概念図で、個別工場の設備配置を再現したものではありません。

編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

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この記事を書いた人

best earth編集部のアバター best earth編集部 食べものの疑問を、農業から読み解く編集部

食べものの「なぜ?」を、農業から解き明かす編集部です。公的機関・大学・研究機関などの一次情報を確認し、作り方、育つ仕組み、産地、環境、技術を図解でわかりやすく紹介します。

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