お米はどうやって作られる?種もみから精米までを図解

お米はどうやって作られる?種もみから精米までを図解

毎日のように見る白い米粒は、最初からあの姿で田んぼに実るわけではありません。では、稲の実はどんな工程を通って、茶碗のごはんになる白米へ変わるのでしょうか。

先に答えると、一般的な米作りでは、種もみから苗を育て、田んぼを整えて田植えをし、水や養分を管理します。穂が実ったら収穫し、その後に乾燥、もみすり、精米を行って白米に仕上げます。

この記事では、日本で一般的な「移植栽培」、つまり苗を育ててから田んぼへ植える方法を軸に、種もみから白米までの全体像を追います。種もみを田へ直接まく「直播栽培」もあるため、すべての米が同じ方法で作られるわけではありません。作業する月や管理方法も、地域、品種、天候によって変わります。

種もみ、苗、田植え、成長、収穫、もみ、玄米、白米を順に示す米作りの全体像
図1:一般的な移植栽培を軸に、田んぼで育てる工程と収穫後に白米へ整える工程を分けた全体像。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
目次

米作りでは、種もみから田へ植える苗を先に育てます

米作りの出発点は「種もみ」です。もみとは、外側にもみ殻がついたイネの実。その中から、次のイネを育てるために使うものが種もみです。

生産者は種もみを選び、必要な消毒や吸水を行って、芽の出方をそろえます。その後、土を入れた育苗箱へまき、田植えができる大きさまで苗を育てます。この苗を育てる工程を「育苗」といいます。

先に苗を作ると、田んぼへ植える前の小さなイネを、温度や水分を見ながらまとめて育てられます。ただし、直播栽培ではこの育苗と田植えを行いません。本記事の工程図は、あくまで移植栽培の代表例です。

種もみを準備し、育苗箱へまき、田植え用の苗を育てる流れ
図2:田植えの前に、種もみを準備して育苗箱へまき、苗を育てます。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

田植えは米作りの最初ではありません。その前に、田へ渡す苗を育てています。

では、苗を植える田んぼでは、何を準備しているのでしょうか。

生産者は田起こしと代かきで、苗を植える田を整えます

苗作りと並行して、生産者は田んぼの土を整えます。まず、トラクターなどで土を耕す「田起こし」を行います。次に水を入れ、土と水を混ぜながら表面を平らにする「代かき」を行います。

代かきには、土をやわらかくするだけでなく、田んぼの底から水が漏れにくくなるようにする、肥料を均一に混ぜる、雑草の発生を抑える、苗を植えやすくするといった役割があります。

田面の高さが大きく違うと、同じ量の水を入れても、場所によって深さが変わります。田植え前に土と水面を整えることは、その後の水管理の土台を作ることでもあります。

田起こしで土を耕し、代かきで平らにしてから苗を田植えする流れ
図3:土を耕す田起こし、水と土を混ぜて平らにする代かき、苗を植える田植えの順。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

田が整い、苗が育ったら、田植え機などで苗を植えます。ここから、苗は田んぼに根を張り、茎と葉を増やしていきます。

田植え後は、イネの成長に合わせて水・養分・雑草を管理します

田植え後の田んぼは、収穫まで同じ深さの水を張り続ける「水槽」ではありません。生産者はイネの育ち方と天候を見ながら、水を入れたり、減らしたり、いったん落としたりします。

たとえば、イネがある程度育った時期には、田の水を落として土を乾かす「中干し」を行う場合があります。土へ空気が入りやすくなり、根を健全に保つことなどが目的です。その後も、穂が作られる時期、花が咲く時期、収穫前で、水管理の目的は変わります。

同時に、生産者は葉の色や茎の数などを見て必要な養分を判断し、雑草、病気、害虫にも対応します。何をどれだけ行うかは、田んぼやイネの状態、地域の基準によって異なります。水管理や肥料、適期の収穫は、収量だけでなく米の品質にもつながります。

田植え直後、茎葉の成長、中干し、穂の形成で管理目的が変わる図
図4:水田の管理は一定ではなく、イネの成長に合わせて水・養分・雑草などの確認対象が変わります。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

水田の管理は、水をためる一つの作業ではありません。イネの段階に合わせて、土・水・養分の状態を変える仕事です。

田んぼに水を張る理由や、中干しで何が変わるのかは関連記事で詳しく扱います。

イネは穂を出して花が咲き、もみの中で玄米を実らせます

茎の中で育った穂が外へ現れることを「出穂」といいます。読み方は「しゅっすい」です。穂が出るとイネの花が咲き、受精した後、もみの中で玄米が少しずつ充実します。この米粒が育っていく期間が「登熟」です。

つまり、穂が出た瞬間に食べられる米が完成するわけではありません。花が咲いた後にも、葉で作られた養分が穂へ運ばれ、もみの中の米粒が実っていきます。成熟が進むと、穂は色づき、実の重みで垂れてきます。

イネの出穂、開花と受精、登熟、成熟を順に示す図
図5:穂が外へ出て花が咲き、受精後にもみの中の米粒が充実し、成熟する流れ。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

私たちが食べる米粒は、イネの花が咲いた後、もみの中で育ちます。

収穫では、稲を刈りながら穂からもみを分けます

稲が成熟したら、田んぼの水を落とし、田面を収穫作業ができる状態へ整えます。収穫時期は、単にカレンダーの日付だけでなく、穂やもみの成熟、天候などを見て判断します。

現在の一般的な機械収穫では、コンバインが稲を刈り取りながら「脱穀」も行います。脱穀とは、稲穂から実であるもみを外すことです。手で刈る方法や、刈取りと脱穀を別々に行う方法もあります。

成熟した稲を刈り、脱穀してもみを得る収穫工程
図6:一般的なコンバイン収穫では、稲刈りと脱穀を行い、もみ殻がついた実を得ます。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

ここで重要なのは、田んぼから収穫するのは白米ではないことです。収穫直後の米は、外側にもみ殻がつき、水分も多い「もみ」の状態です。

収穫後のもみは、乾燥・もみすり・精米で白米になります

収穫したもみは、まず水分を整えるために乾燥させます。急激な乾燥や乾かしすぎは、米粒の割れや品質低下につながるため、収穫後も状態に合わせた管理が必要です。

乾燥したもみから、外側のもみ殻を外す作業が「もみすり」です。もみすりをすると玄米になります。さらに、玄米の表面にあるぬか層や胚芽を取り除く「精米」を行うと、普段よく見る白米になります。

もみ → 玄米 → 白米という違いは、別々の作物の違いではありません。同じ米から、外側の層を段階的に取り除いた姿の違いです。

乾燥、もみすり、選別、精米をどの施設で誰が行うかは、生産者や地域、流通の形によって異なります。詳しい機械や品質管理は、関連記事「もみから白米になるまで」で扱います。

種もみから白米までは、圃場工程と収穫後工程に分かれます

「圃場(ほじょう)」とは、作物を育てる田畑のことです。この表では全体を比べやすくするため、田んぼへ移す前の育苗も含め、種もみの準備から稲刈り・脱穀までを「圃場工程」にまとめます。収穫したもみを乾燥させるところから先が「収穫後工程」です。

スマートフォンでは、表を横に動かすと4列すべてを確認できます。

区分工程生産者や施設がすること次へつなぐもの
圃場工程種もみ・育苗種もみを準備し、苗を育てる田へ植える苗
圃場工程田起こし・代かき土を耕し、水を入れて田面を整える苗を植えられる田
圃場工程田植え・生育管理苗を植え、水・養分・雑草・病虫害を管理する穂をつけるイネ
圃場工程出穂・開花・登熟花の後、もみの中の米粒を充実させる成熟した稲
圃場工程稲刈り・脱穀稲を刈り、穂から実を外す収穫したもみ
収穫後工程乾燥・もみすり水分を整え、もみ殻を外す玄米
収穫後工程選別・精米粒や異物を確認し、ぬか層などを除く白米
種もみから収穫・脱穀までの圃場工程と、乾燥から白米までの収穫後工程を一枚にまとめた図
図7:種もみから収穫・脱穀までを圃場工程、乾燥から白米までを収穫後工程として整理した完全版。時期と方法は地域・品種で変わります。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

米作りは、田植えと稲刈りだけではありません。種もみから苗を育て、田を整え、成長に合わせて管理し、花の後にもみを実らせる。収穫後は、もみを乾燥し、玄米を経て白米へ整える。この二つのまとまりをつなぐと、茶碗のごはんになるまでの全体像が見えてきます。

お米の作り方を知った次に読む疑問

参考・出典

編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は上記資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・工程・境界を照合した概念図です。特定産地の栽培暦や設備を示すものではありません。

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この記事を書いた人

best earth編集部のアバター best earth編集部 食べものの疑問を、農業から読み解く編集部

食べものの「なぜ?」を、農業から解き明かす編集部です。公的機関・大学・研究機関などの一次情報を確認し、作り方、育つ仕組み、産地、環境、技術を図解でわかりやすく紹介します。

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