店で見る玉ねぎは、小さな種から、どんな仕事を経て丸く育つのでしょうか。
苗を畑へ植える玉ねぎ作りでは、種から苗を育て、畑で球を大きくし、収穫後に乾燥・選別して出荷します。 JA幕別町の栽培こよみも、この流れで紹介しています。
ここでは、苗を別の場所で育ててから畑へ植える「移植栽培」を説明します。地域によって種まきの季節や収穫の手順は変わり、苗づくり・乾燥をJAや業者が分担する例もあります。

玉ねぎ作りは、苗・畑・収穫後の仕事に分かれる
玉ねぎが育つ場所と、出荷の準備をする場所は、同じとは限りません。まずは、全体を三つの仕事に分けてみましょう。
| 段階 | 主な仕事 | 見る対象 |
|---|---|---|
| 苗づくり | 種をまき、畑へ植える苗を育てる | 小さな苗 |
| 畑での管理 | 苗を植え、葉と球が育つ環境を整える | 水はけ・株の育ち |
| 収穫後の管理 | 乾燥・選別をし、出荷の準備をする | 収穫した球 |
表はJA幕別町の工程と北陸の調査報告を整理したもの。全国の農家が同じ施設・順序で作業するという意味ではありません。
「畑で丸く育ったら終わり」ではなく、出荷まで仕事が続きます。最初の種まきは、いつ行うのでしょうか。
玉ねぎの種まき時期は、地域の気候と作型で変わる
種まきから収穫までを、どの季節に組み合わせるか。この組み合わせを「作型(さくがた)」と呼びます。北海道では春まき、西日本では秋まきが代表的です。農研機構は、東北では両方の作型が可能と説明しています。
| 作型の代表例 | 種まき | 収穫 | 気候の説明 |
|---|---|---|---|
| 北海道の春まき | ハウスなどで冬の2月 | 8月下旬〜10月 | 夏が冷涼 |
| 西日本の秋まき | 秋の9月 | 翌年3〜6月 | 冬が温暖 |
出典:農研機構の2024年11月8日公開資料の用語解説。2026年10月1日確認。代表例であり、2026年の栽培実績や全国の固定暦ではありません。東北の時期をこの2行で代用する表でもありません。
春まきという名称でも、種をまくのは冬の例があります。春まき用と秋まき用では品種も異なるため、農家は地域の作型に合った品種を使います。

同じ玉ねぎでも、種まきの季節まで全国同じではありません。次は、小さな種から苗を育てる仕事です。
玉ねぎの苗づくりは、農家・JA・業者が分担する例がある
苗を育てる作業が「育苗(いくびょう)」、育った苗を畑へ植える作業が「定植(ていしょく)」です。JA幕別町では、播種工場で種をまき、農家のハウスで苗を育ててから移植機で畑へ植える工程を紹介しています。
一人の農家が、全てを行うとは限りません。2024年4月の北陸の調査報告には、JAとなみ野が種をまき、農家が育苗する例や、福井県坂井地区で苗生産業者へ育苗を委託する例があります。

苗が畑へ移った後は、葉と球が育つ環境を農家が整えます。
玉ねぎ畑では、葉を育てながら水はけや株を管理する
苗を植えた後も管理が必要です。北陸の水田を畑へ変えた事例では、水はけを良くする溝や畝を整え、雑草・病害虫への対策を行っています。農家は株の育ちを見ながら、追加の肥料を与える時期も判断しています。

畑の上にある葉も、球の育ちに関わります。農研機構の春まき試験では、葉が受ける光の量と球の大きさに関係が認められました。これは岩手県盛岡市の2021〜2022年、「もみじ3号」「トタナ」を使った試験です。光だけで全ての玉ねぎの大きさが決まる、という全国共通の説明ではありません。
畑では葉も大事な観察対象です。では、私たちが食べる球は、植物のどの部分でしょうか。
玉ねぎの丸い球は、葉の付け根が厚くなった部分
玉ねぎの食べる部分は、根ではなく、葉の付け根が厚くなった組織です。この重なった組織を「りん片」と呼びます。

球が膨らむことを「肥大(ひだい)」といい、昼の明るい時間の長さを表す「日長(にっちょう)」や気温が関係します。肥大する時期は品種や栽培環境によって違います。
球が育った後も、収穫は一度の作業で終わるとは限りません。
玉ねぎの収穫には、根切り・乾燥・拾い上げを分ける地域例がある
葉が倒れる状態を「倒伏(とうふく)」と呼びます。JAきたみらいの2019年の紹介では、倒伏が始まると農家が頃合いを見て、機械で根を切ります。葉が倒れたその日に全てを出荷する、という意味ではありません。
この「根切り」の後、葉が枯れるのを待って、機械で玉ねぎをコンテナに拾い上げます。続いて葉を切り、機械で取り切れなかった根や葉は人が仕上げます。

JA幕別町も、根切り後に置き、葉が乾いてから集める流れを紹介しています。 これらは北海道の紹介例です。別の産地でも葉切りの順序や乾燥する場所が同じ、と決めつけずに見てください。次は収穫後の仕事です。
収穫した玉ねぎは、乾燥・選別で出荷の状態に整える
ここでいう乾燥は、出荷や貯蔵に向けた管理です。JAとなみ野の例では、収穫期が梅雨と重なるため、共同施設で乾燥・選別を行っています。管理した乾燥が品質の維持に役立ち、保管は出荷時期や作業待ちの調整にも使われます。乾燥まで農家だけが行うわけではありません。
選別は、収穫物をサイズなどで分ける作業です。JA幕別町は、選果場でサイズを分け、箱詰めして出荷する工程を紹介しています。
ただし、全てが同じ経路ではありません。2024年4月の福井県坂井地区の報告には、畑で根と葉を切り、拾い上げた玉ねぎを加工・業務用の出荷先へ送る「青切り出荷」の例があります。受け入れ先の貯蔵・加工施設と、石が混入する懸念のない畑などが条件です。全ての加工用玉ねぎや新玉ねぎを指す説明ではありません。
まとめ:玉ねぎは、苗から畑、収穫後へ仕事をつなぐ

ここで扱った移植栽培では、種から苗を育て、畑で葉と球を育て、収穫後に出荷の準備をします。農家だけでなく、JAや苗生産業者が苗づくりや乾燥・選別を分担する例もあります。
玉ねぎが届くまでの流れは、苗づくり・畑の管理・収穫後の仕事の三段階で捉えられます。 季節や担当、出荷前の処理を地域と用途に分けて見ると、畑から店へ届く工程がつながります。
参考・出典
いずれも2026年10月1日確認。地域の紹介・過去の試験を当年の全国実績に置き換えていません。
- JA幕別町「玉ねぎの栽培こよみ」:移植栽培の工程・選別。公開日未確認。
- 農研機構「東北地域におけるタマネギ栽培体系標準作業手順書」を公開:2024年11月8日。公開HTMLの作型解説。
- 農畜産業振興機構「水田転換畑における加工・業務用たまねぎの生産安定に向けた技術的アプローチ」:2024年4月。北陸2地区の報告。
- 農畜産業振興機構「たまねぎの需給動向」:2025年4月。作型別の品種の説明。
- 農研機構「国産タマネギの周年供給を強化する 新しい栽培管理技術」:2021年7月14日。用語「りん片」。
- 農研機構「灰色低地土とアロフェン質黒ボク土における東北地域の春まきタマネギの栽培特性」:2020〜2021年度の試験。背景・留意点。
- JAきたみらい「玉ねぎはどうやって収穫しているの?」:2019年8月27日。当地の収穫工程。
- 農研機構「タマネギの大玉・高収量は『葉の光の受け方』がカギ」:2026年9月15日公表。盛岡の2021〜2022年春まき試験。
編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

