玉ねぎはどうやって作られる?種まきから収穫・乾燥までを図解

苗トレイと畑の玉ねぎ、収穫した球を背景に、玉ねぎの作られ方を問う編集イメージ
AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。実在する農場・商品を写した写真ではありません。

店で見る玉ねぎは、小さな種から、どんな仕事を経て丸く育つのでしょうか。

苗を畑へ植える玉ねぎ作りでは、種から苗を育て、畑で球を大きくし、収穫後に乾燥・選別して出荷します。 JA幕別町の栽培こよみも、この流れで紹介しています。

ここでは、苗を別の場所で育ててから畑へ植える「移植栽培」を説明します。地域によって種まきの季節や収穫の手順は変わり、苗づくり・乾燥をJAや業者が分担する例もあります。

苗を育てる、畑で育てる、収穫後に整える三段階を上から下へ示した玉ねぎの工程図
図1:苗を別の場所で育てて畑へ植える移植栽培の概要です。矢印は苗づくりから収穫後へ進みます。地域・用途による工程の違いは本文で説明します。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
目次

玉ねぎ作りは、苗・畑・収穫後の仕事に分かれる

玉ねぎが育つ場所と、出荷の準備をする場所は、同じとは限りません。まずは、全体を三つの仕事に分けてみましょう。

段階主な仕事見る対象
苗づくり種をまき、畑へ植える苗を育てる小さな苗
畑での管理苗を植え、葉と球が育つ環境を整える水はけ・株の育ち
収穫後の管理乾燥・選別をし、出荷の準備をする収穫した球

表はJA幕別町の工程と北陸の調査報告を整理したもの。全国の農家が同じ施設・順序で作業するという意味ではありません。

「畑で丸く育ったら終わり」ではなく、出荷まで仕事が続きます。最初の種まきは、いつ行うのでしょうか。

玉ねぎの種まき時期は、地域の気候と作型で変わる

種まきから収穫までを、どの季節に組み合わせるか。この組み合わせを「作型(さくがた)」と呼びます。北海道では春まき、西日本では秋まきが代表的です。農研機構は、東北では両方の作型が可能と説明しています。

作型の代表例種まき収穫気候の説明
北海道の春まきハウスなどで冬の2月8月下旬〜10月夏が冷涼
西日本の秋まき秋の9月翌年3〜6月冬が温暖

出典:農研機構の2024年11月8日公開資料の用語解説。2026年10月1日確認。代表例であり、2026年の栽培実績や全国の固定暦ではありません。東北の時期をこの2行で代用する表でもありません。

春まきという名称でも、種をまくのは冬の例があります。春まき用と秋まき用では品種も異なるため、農家は地域の作型に合った品種を使います。

春まきの保護された育苗と、秋まきの種まきを別の欄に示した玉ねぎの作型図
図2:二つの欄は独立した作型で、一方から他方へ進む工程ではありません。収穫季節を描いた図でもありません。春まきという名称でも冬に播種する例があります。地域・月・東北で両作型が可能な条件は本文表を参照してください。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

同じ玉ねぎでも、種まきの季節まで全国同じではありません。次は、小さな種から苗を育てる仕事です。

玉ねぎの苗づくりは、農家・JA・業者が分担する例がある

苗を育てる作業が「育苗(いくびょう)」、育った苗を畑へ植える作業が「定植(ていしょく)」です。JA幕別町では、播種工場で種をまき、農家のハウスで苗を育ててから移植機で畑へ植える工程を紹介しています。

一人の農家が、全てを行うとは限りません。2024年4月の北陸の調査報告には、JAとなみ野が種をまき、農家が育苗する例や、福井県坂井地区で苗生産業者へ育苗を委託する例があります。

苗トレイで育てた小さな玉ねぎ苗を、根の周りの土ごと畑へ移す概念図
図3:苗づくりから畑への植え付けへ進みます。苗は細い株で、成熟した大きな球を植える図ではありません。播種や育苗をJA・業者が分担する例は本文を参照。植付深さや株間の推奨図ではありません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

苗が畑へ移った後は、葉と球が育つ環境を農家が整えます。

玉ねぎ畑では、葉を育てながら水はけや株を管理する

苗を植えた後も管理が必要です。北陸の水田を畑へ変えた事例では、水はけを良くする溝や畝を整え、雑草・病害虫への対策を行っています。農家は株の育ちを見ながら、追加の肥料を与える時期も判断しています。

玉ねぎ畑の水はけ、雑草や病害虫、株の育ちを三つの独立した観察対象として並べた図
図4:三つの欄は管理の視点で、作業順序ではありません。排水溝の水と作物を植える土を区別しています。虫の記号は観察を示し、特定の害虫を同定する図ではありません。畝や設備・対策は畑ごとに異なります。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

畑の上にある葉も、球の育ちに関わります。農研機構の春まき試験では、葉が受ける光の量と球の大きさに関係が認められました。これは岩手県盛岡市の2021〜2022年、「もみじ3号」「トタナ」を使った試験です。光だけで全ての玉ねぎの大きさが決まる、という全国共通の説明ではありません。

畑では葉も大事な観察対象です。では、私たちが食べる球は、植物のどの部分でしょうか。

玉ねぎの丸い球は、葉の付け根が厚くなった部分

玉ねぎの食べる部分は、根ではなく、葉の付け根が厚くなった組織です。この重なった組織を「りん片」と呼びます。

玉ねぎの緑の葉、株元の球、その底から伸びる細い根へそれぞれ案内線を引いた全体図
図5:案内線は各部位を指し、成長や因果の矢印ではありません。食べる球は葉の付け根が厚くなった組織です。精密な組織断面や深さの実測図ではありません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

球が膨らむことを「肥大(ひだい)」といい、昼の明るい時間の長さを表す「日長(にっちょう)」や気温が関係します。肥大する時期は品種や栽培環境によって違います。

球が育った後も、収穫は一度の作業で終わるとは限りません。

玉ねぎの収穫には、根切り・乾燥・拾い上げを分ける地域例がある

葉が倒れる状態を「倒伏(とうふく)」と呼びます。JAきたみらいの2019年の紹介では、倒伏が始まると農家が頃合いを見て、機械で根を切ります。葉が倒れたその日に全てを出荷する、という意味ではありません。

この「根切り」の後、葉が枯れるのを待って、機械で玉ねぎをコンテナに拾い上げます。続いて葉を切り、機械で取り切れなかった根や葉は人が仕上げます。

葉が倒れる、球の下の根を切る、乾かして拾う順を上から下へ示した玉ねぎ収穫の地域例
図6:北海道のJA紹介をもとにした工程例です。刃は球ではなく、その下の根を切る概念で、機械の構造・施工寸法を再現した図ではありません。矢印は倒伏から根切り、その後の乾燥・拾い上げへ進みます。葉切りの場所や順序は地域で異なります。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

JA幕別町も、根切り後に置き、葉が乾いてから集める流れを紹介しています。 これらは北海道の紹介例です。別の産地でも葉切りの順序や乾燥する場所が同じ、と決めつけずに見てください。次は収穫後の仕事です。

収穫した玉ねぎは、乾燥・選別で出荷の状態に整える

ここでいう乾燥は、出荷や貯蔵に向けた管理です。JAとなみ野の例では、収穫期が梅雨と重なるため、共同施設で乾燥・選別を行っています。管理した乾燥が品質の維持に役立ち、保管は出荷時期や作業待ちの調整にも使われます。乾燥まで農家だけが行うわけではありません。

選別は、収穫物をサイズなどで分ける作業です。JA幕別町は、選果場でサイズを分け、箱詰めして出荷する工程を紹介しています。

ただし、全てが同じ経路ではありません。2024年4月の福井県坂井地区の報告には、畑で根と葉を切り、拾い上げた玉ねぎを加工・業務用の出荷先へ送る「青切り出荷」の例があります。受け入れ先の貯蔵・加工施設と、石が混入する懸念のない畑などが条件です。全ての加工用玉ねぎや新玉ねぎを指す説明ではありません。

まとめ:玉ねぎは、苗から畑、収穫後へ仕事をつなぐ

苗づくり、畑での管理、収穫後の乾燥・サイズ選別と出荷準備をまとめた概念図
図7:冒頭図の順序に、観察・乾燥・選別という仕事を重ねたまとめです。農家・JA・苗生産業者が分担する例があり、同じ人や施設が全部を担う意味ではありません。出荷先で処理する加工用の例外も本文を参照。サイズの閾値・乾燥条件の実測図ではありません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

ここで扱った移植栽培では、種から苗を育て、畑で葉と球を育て、収穫後に出荷の準備をします。農家だけでなく、JAや苗生産業者が苗づくりや乾燥・選別を分担する例もあります。

玉ねぎが届くまでの流れは、苗づくり・畑の管理・収穫後の仕事の三段階で捉えられます。 季節や担当、出荷前の処理を地域と用途に分けて見ると、畑から店へ届く工程がつながります。

参考・出典

いずれも2026年10月1日確認。地域の紹介・過去の試験を当年の全国実績に置き換えていません。

編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

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この記事を書いた人

best earth編集部のアバター best earth編集部 食べものの疑問を、農業から読み解く編集部

食べものの「なぜ?」を、農業から解き明かす編集部です。公的機関・大学・研究機関などの一次情報を確認し、作り方、育つ仕組み、産地、環境、技術を図解でわかりやすく紹介します。

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