玉ねぎを切ると、白い層が何枚も重なっています。土の中の根が太ったものなのでしょうか。
玉ねぎの丸い部分は、短い茎の周囲に重なった葉が厚くなり、養分を蓄えた球です。主に食べている白い層は、葉の付け根が変化した組織です。 根は球の下から別に伸びています。
丸い球を作るには、品種に合った昼の長さや温度が関係します。ただし、球が作られ始める条件と、どれだけ大きく太るかは、同じ問いではありません。

玉ねぎの丸い部分は、厚く重なった葉でできている
玉ねぎのように、短い茎の周囲に厚い葉が重なった球を「鱗茎(りんけい)」と呼びます。白い層を一枚ずつ見ると、葉が形を変えて重なった構造だと分かります。
球の底には、短く詰まった茎があります。そこから葉が上へ、根が下へ伸びます。「丸いところは葉」と覚える場合も、底の茎と根まで同じ器官になるわけではありません。
| 見る部分 | 植物のどこか |
|---|---|
| 白く厚い層 | 主に、葉の付け根が変化した部分 |
| 球の底の小さな部分 | 短く詰まった茎 |
| 底から下へ伸びる細い部分 | 根 |
表は農研機構とネブラスカ大学普及部の器官説明を整理した概念図の読み方です。球の各部の比率や土中の深さを測った表ではありません。2026年10月1日確認。
輪切りで見える輪も、葉の重なりの断面です。年輪ではないので、輪の数から玉ねぎの年齢を読むものではありません。
丸い球と、その下に伸びる根は別の部分です。
では、白い層は、全て緑の葉の先までつながっているのでしょうか。
玉ねぎの白い層には、緑の葉につながらない貯蔵葉もある
葉の上側の緑の部分を「葉身(ようしん)」、付け根で内側を包む部分を「葉鞘(ようしょう)」と呼びます。玉ねぎでは葉の基部が厚くなり、食べる組織の「りん片」を作ります。
りん片には、緑の葉身を持つ「肥厚葉(ひこうよう)」と、葉身を持たない「貯蔵葉(ちょぞうよう)」があります。貯蔵葉も葉が変化したもので、緑の葉先がないから茎や根になる、という意味ではありません。

葉が厚くなる材料は、葉が光合成で作る糖です。光合成は、植物が光を使って糖を作る働き。農研機構の栽培マニュアルは、その糖を葉鞘部の肥厚葉・貯蔵葉に蓄えて、球が作られると説明しています。
玉ねぎは、葉で作った糖を、株元の厚い葉へ蓄えます。
ただし、種から育った直後から、同じ勢いで球が膨らむわけではありません。次は、球を作り始める条件です。
玉ねぎが太り始める時期は、品種と日長・温度で変わる
昼の明るい時間の長さを「日長(にっちょう)」、球が大きく膨らむことを「肥大(ひだい)」といいます。
玉ねぎは品種ごとに、肥大を始める日長の条件が異なります。JA石川かほくは、石川と北海道では使う品種の日長条件が違うと説明しています。
気温も肥大に関係し、肥大開始温度には品種差があります。
どの品種も同じ昼の長さ、同じ気温で丸くなるわけではありません。農家は地域と栽培時期に合う品種を使います。

ここで「光」を二つに分けて考える必要があります。日長は、昼が何時間続くか。受光量は、葉が受けた光の量です。1964年の球形成・肥大の実験では、長い日長でも光が弱いと肥大が抑えられ、温度を上げても日長の代わりにはならないことが示されています。
この実験を、現在の全品種に同じ数値を当てはめる根拠にはしません。分かるのは、昼が長いことと、葉が十分に光を受けることを一緒に扱えない、という点です。
「丸くなる時期」と「大きくなる程度」は分けて見ます。
では、球の大きさには、畑の上にある葉がどう関わるのでしょうか。
玉ねぎの大きさには、肥大前の葉の育ちと受ける光も関わる
農研機構の東北の春まきマニュアルでは、球が肥大する前に、葉を育てる期間を確保することを重視しています。球の肥大時期は品種ごとにおおよそ決まるため、その前に株を育てることが、十分な肥大につながります。
球へ蓄える糖を作るのは、畑の上の葉です。
農研機構が2026年9月15日に公表した試験でも、葉が受ける光の総量と球の重さには強い関係が認められました。試験は、岩手県盛岡市で2021〜2022年に行った春まき栽培で、「もみじ3号」「トタナ」を使っています。葉の量や株の配置が、受ける光の量に関わっていました。

これは、光だけで全国の玉ねぎの大きさが決まるという説明ではありません。球を作る条件が整うまでに葉を育て、その葉が光を受けて糖を作り、株元へ蓄える。そのつながりを見るための研究例です。
店で大きさの違う玉ねぎを見るときも、単に土の中で根が太ったのではなく、葉の育ちが球へつながった結果と捉えられます。球の形には品種や生育条件による差もあり、全てが完全な真球になるわけではありません。
球に養分を蓄えることには、植物自身にとっても意味があります。
玉ねぎの球は、養分を蓄えて休眠するための部分でもある
「休眠(きゅうみん)」は、生育を一時的に止める状態です。JA石川かほくは、玉ねぎが暑い時期に生育を止め、不良環境を乗り切る反応として説明しています。球は養分を蓄える場所でもあり、休眠期間は品種によって違います。
休眠は、永久に成長しなくなることではありません。休眠から覚めると芽が出ることもあります。球は、植物の生育から切り離された、ただの丸い塊ではないのです。
薄い外皮と、内側の白い層にも役割の違いがあります。玉ねぎのような被膜を持つ球では、乾いた紙状の外層が、乾燥や物理的な傷から内側を保護します。外皮と中身が、全く別の植物の器官という意味ではありません。
まとめ:玉ねぎは、葉に養分を蓄えて球を作る

玉ねぎの主な可食部は、葉の付け根が変化して厚くなった組織です。緑の葉につながる肥厚葉と、葉身を持たない貯蔵葉が重なり、底の短い茎から根が伸びています。
丸くなる条件には品種に合う日長や温度が関係し、大きさを考えるときは、肥大前の葉の育ちや葉が受ける光も重要です。
玉ねぎの球は、根が太ったものではなく、葉が作る糖を厚い葉へ蓄えたものです。 切り口の重なりは、その構造を目に見える形で示しています。
玉ねぎが種から育つ工程も確認する
球の構造だけでなく、苗づくり・畑の管理・収穫後の仕事を知りたいときは、玉ねぎが種から収穫・乾燥まで進む工程をご覧ください。
参考・出典
いずれも2026年10月1日確認。地域の技術解説や過去の試験を、全国の一律条件へ置き換えていません。
- 農研機構「国産タマネギの周年供給を強化する 新しい栽培管理技術」:2021年7月14日。用語「りん片」、肥厚葉・貯蔵葉。
- ネブラスカ大学普及部「Onions – Long Day, Short Day or Neutral?」:2022年1月31日。球の底の短い茎と葉・根、球形。米国の栽培手順は採用していません。
- イリノイ大学普及部「All About Bulbs」:公開日未確認。球の横断面と葉の層。
- 農研機構ほか「東北地域における春まきタマネギ栽培マニュアル」:2020年2月、印刷4頁。糖の蓄積、肥大前の生育。
- JA石川かほく「タマネギ栽培と作型」:公開日未確認。品種別の日長・温度、休眠。
- 加藤徹「タマネギの球の形成肥大および休眠に関する生理学的研究(第3報)」:園芸学会雑誌、1964年、33巻1号、53〜61頁。公開抄録の項目3・5を確認。
- 農研機構「タマネギの大玉・高収量は『葉の光の受け方』がカギ」:2026年9月15日公表。盛岡の2021〜2022年春まき試験。
- UF/IFASほか「Bulbs」:更新表示2023年2月24日。被膜のある球の紙状外層と保護の役割。
編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

