じゃがいもは根ではなく茎?土の中でいもが育つ仕組み

目と短い芽を持つじゃがいもと、葉のある茎を並べた疑問型イメージ
AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。根か茎かを問う編集画で、実物を撮影した写真ではありません。

土から掘り出すじゃがいもは、根のように見えます。けれど、食べている部分は根ではありません。

じゃがいもは、地下に横へ伸びる茎の先が太ったものです。表面の「目」にも、葉と芽がつく茎の構造が残っています。 育つ場所が土の中でも、植物のどの部分からできるかを見ると、根と茎を区別できます。

地上の茎、細い根、母いも、地下に横へ伸びる茎と新しいいもを分けた断面図
図1:根とストロンは別の器官です。植えた母いもとは別に、横へ伸びる地下の茎の先に新しいいもができます。色・個数・大きさは模式的で、全株で一定の配置を示すものではありません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

この記事では、植え方ではなく、じゃがいもが茎である理由と、地下で太る仕組みを見ます。

目次

新しいじゃがいもは、地下へ伸びた茎の先にできます

じゃがいもの株には、根だけでなく、地下を横へ伸びる茎もあります。この横へ伸びる茎を「ストロン」といい、先が太った部分を「塊茎(かいけい)」と呼びます。食べるじゃがいもは、この塊茎です。

図1では、植えた種いもを「母いも」として、新しいいもから分けています。母いもの芽から育った茎の地中部に、根とストロンが伸びます。母いもがそのまま大きくなって収穫物になるのでも、細い根の先がじゃがいもになるのでもありません。

花の後に地上でできる実も、食べるじゃがいもとは別です。地下の茎の先にできる塊茎と、花の後の果実を混同しないことが、株の姿を理解する出発点です。

じゃがいもの「目」には、茎にある芽の位置が残っています

じゃがいもの表面にある、芽の出るくぼみを「目」と呼びます。一つの目には、複数の芽がまとまってあります。

普通の茎で、葉がつく位置を「節(ふし)」といいます。じゃがいもの目は、この節に対応する位置です。丸く太っていても、葉と芽がつく茎の構造が消えたわけではないのです。

表面を詳しく見ると、小さな葉に対応する弧状の部分と、その付け根の芽が並んでいます。その並び方は、いもの表面をらせん状にたどります。地下の茎の先からできることと、表面に残る葉・芽の位置を合わせると、じゃがいもが茎である理由が分かります。

いもの目を拡大し、芽のまとまりと小さな葉に対応する弧状の部分を示す図
図2:目には芽がまとまってあり、その付け根には小さな葉に対応する部分があります。太った茎にも葉と芽のつく位置が残っています。見え方や深さ、拡大率を測った図ではありません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

じゃがいもは、葉から届いた糖を蓄えて太ります

地下の茎の先が太る材料は、地上の葉からも届きます。葉は「光合成」、つまり光を使って糖などを作る働きを行います。

葉で作られた糖の一つ、ショ糖は、植物の中の「師部(しぶ)」という通り道を通って、発達中のいもへ運ばれます。いもでは、受け取った糖をもとにでんぷんが作られ、蓄えられます。

その間、いもを作る細胞が増えたり、大きくなったりして、茎の先が膨らみます。葉から届くものは糖で、いもの中に蓄えられるものの一つがでんぷんです。 葉でできたでんぷんの粒が、そのまま地下へ流れるという意味ではありません。

葉が糖を作る、糖が移動する、いもがでんぷんを蓄えて太るという順に示した図
図3:黄色い矢印は光や糖の移動を説明する記号です。糖が植物の体外を流れる図でも、でんぷん粒が葉から移動する図でもありません。右下の細胞は生長を模式化したもので、顕微鏡像や細胞の数・寸法を示していません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

じゃがいもは、蓄えと芽を備えて次の生長につながります

食卓では、じゃがいもを食用のいもとして見ます。植物にとっては、養分を蓄え、次に茎や葉を育てる芽を持った器官でもあります。

いもがストロンから離れた後も、蓄えと芽は残ります。条件が整うと、目の芽が伸び、新しい茎と葉へ育ちます。この役割も、じゃがいもがただの丸い塊ではなく、植物の生長につながる部分であることを示しています。

ただし、芽が伸び始める時期や条件は一律ではありません。ここでは器官の働きを説明しており、家庭で発芽させる方法や、保存条件を示しているわけではありません。

いもにある芽が伸び、新しい茎と葉になることを二つの状態で示す図
図4:芽から茎と葉が伸びる関係を示しています。根は省略しています。左のいもが右で大きな収穫物になる図ではなく、発芽の期間や保存・栽培の方法も指定していません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

「根菜」という名前でも、食べる部分が根とは限りません

じゃがいもが茎なら、「根菜」と呼ぶのは矛盾でしょうか。根菜は、野菜として使う地下の貯蔵器官をまとめる呼び方でもあり、食べる部分がすべて根という意味ではありません。

食べもの太って食用になる部分
じゃがいも地下に伸びる茎の先
サツマイモ根

表の根拠:福岡教育大学の植物形態教材「地下貯蔵器官と栄養繁殖」。公表年月未確認、2026年10月1日確認。ここでは器官だけを比較しています。

注意したいのは、「芽が出るなら必ず茎」という見分け方も正確ではないことです。太った根であるサツマイモからも芽が育ちます。じゃがいもでは、芽があるという一点だけでなく、ストロンとのつながりと葉・芽の位置を合わせて見ます。

じゃがいもは、地下の茎が芽と蓄えを備えた姿です

地下の茎先の肥大、目の芽、葉からの糖、蓄えと次の生長を四区画でまとめた図
図5:四つの独立した場面で、茎である根拠と蓄え・芽の働きをまとめています。糖の矢印は流れの説明記号で、根や母いもは省略しています。一つの株を解剖した写真ではありません。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。

じゃがいもは、地下を横へ伸びるストロンの先が太った塊茎です。表面には、茎の節に対応する目と芽が残っています。葉から届く糖をもとにでんぷんを蓄え、芽は後に新しい茎や葉へ育ちます。「土の中にあるから根」ではなく、茎の先にでき、茎の構造を持っているから、じゃがいもは茎なのです。

参考・出典

栽培から収穫・出荷までの作業を見たい方は、じゃがいもはどうやって作られる?種いもから収穫までを図解で全体の工程を確認できます。

本文は原典をもとにした編集上の説明で、圃場取材や実験の報告ではありません。図はAI生成の説明用模式図で、実物や圃場を撮影した写真ではありません。

編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

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この記事を書いた人

best earth編集部のアバター best earth編集部 食べものの疑問を、農業から読み解く編集部

食べものの「なぜ?」を、農業から解き明かす編集部です。公的機関・大学・研究機関などの一次情報を確認し、作り方、育つ仕組み、産地、環境、技術を図解でわかりやすく紹介します。

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