春にも冬にも、スーパーには玉ねぎが並んでいます。いつも同じ産地で収穫しているのでしょうか。
玉ねぎは、産地や品種で収穫する時期をずらし、乾燥・貯蔵によって出荷期間を伸ばすことで、一年中届いています。収穫の時期が違う各地の玉ねぎと、収穫後に保管した玉ねぎが、同じ時期の売り場を支えています。

玉ねぎの供給は、産地の違いと収穫後の貯蔵でつながる
産地リレーとは、時期によって集荷する産地を変え、野菜を続けて届ける仕組みです。日本は南北に長く、気候が違うため、同じ野菜でも収穫する季節がずれます。
玉ねぎでは、収穫した後に貯蔵して、出荷する時期を分ける仕事も加わります。農家が畑で収穫する「収穫月」、生産者やJAが送り出す「出荷月」、市場へ届く「入荷月」は、同じ意味ではありません。
玉ねぎが冬に売られているからといって、冬にその産地の畑で収穫したとは限りません。
では、各地ではいつ玉ねぎを育てるのでしょうか。
北海道と兵庫では、苗づくりと収穫の季節が異なる
北海道のJAきたみらいは、雪のある冬にハウスで種をまき、苗を育てます。その苗を春に畑へ植え、収穫へつなげています。
一方、兵庫のJA淡路日の出が紹介する例では、秋に種をまき、晩秋に苗を畑へ植えます。畑で冬を越して育ち、初夏に収穫します。
この二つの例は、同じ玉ねぎでも栽培の季節が違うことを示しています。どちらも地域の例で、北海道や兵庫のすべての農家・品種が同じ日程という意味ではありません。

こうした違いは、消費地へ届く玉ねぎにも表れています。
東京市場では、玉ねぎの主な入荷産地が季節で変わる
2025年の東京都中央卸売市場では、玉ねぎの入荷量が最も多い産地は、5〜6月が佐賀、7月が兵庫、ほかの月が北海道でした。最大の産地が変わっても、ほかの産地の入荷はなくなりません。
下の表は、東京都中央卸売市場の9市場へ入荷した数量です。全国の生産量や収穫量を表すものではありません。
2025年の東京市場への入荷量(トン)
対象:2025年1〜12月、品目「たまねぎ」。原表のkgをトンへ換算し、各欄を四捨五入しています。確認日:2026年10月1日。
| 月 | 北海道 | 佐賀 | 兵庫 | その他の国内・海外 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 6,851 | 11 | 27 | 563 |
| 2月 | 6,571 | 6 | 12 | 1,631 |
| 3月 | 6,342 | 175 | 11 | 2,711 |
| 4月 | 5,877 | 2,094 | 61 | 1,551 |
| 5月 | 1,407 | 4,709 | 1,015 | 1,530 |
| 6月 | 329 | 3,389 | 1,986 | 2,476 |
| 7月 | 632 | 2,822 | 2,866 | 2,540 |
| 8月 | 6,290 | 499 | 956 | 481 |
| 9月 | 6,520 | 17 | 96 | 609 |
| 10月 | 6,331 | 10 | 114 | 549 |
| 11月 | 5,786 | 17 | 86 | 558 |
| 12月 | 6,489 | 63 | 77 | 604 |
「その他」には静岡などの国内産地と海外が含まれます。静岡は1〜3月に北海道に次ぐ入荷量でした。三つの県だけで年間供給を説明すると、こうした供給元が抜けてしまいます。

これは2025年の実績です。市場や年が違えば構成は変わるため、全国共通の予定表や、今後の出荷の保証としては読めません。また、この統計だけでは、収穫した月や貯蔵品の割合は分かりません。
同じ産地から長く届く玉ねぎには、品種の組み合わせも関係しています。
佐賀も北海道も、品種を組み合わせて出荷期間を伸ばす
JAさがは、早く収穫できる品種「貴錦」の出荷を3月上旬に始め、その後は品種を変えながら9月まで出荷すると紹介しています。
JAきたみらいも、生育期間と貯蔵性が異なる品種を組み合わせ、8月〜翌年6月頃まで出荷すると説明しています。早生・中晩生とは、ここでは収穫できる時期の早い・遅いを表す品種の区分です。
JAの地域・商品案内にみる出荷時期の例
| 生産者の紹介例 | 出荷の案内 | 時期をつなぐ方法 |
|---|---|---|
| JAさが | 3月上旬〜9月 | 品種を順につなぐ |
| JAきたみらい | 8月〜翌年6月頃 | 生育期間・貯蔵性が異なる品種を使う |
| JA淡路日の出 | 冷蔵品は11月〜翌年1月頃 | 収穫後の玉ねぎを保管して出荷する |
確認日:2026年10月1日。各JAの地域・商品案内を比較した例で、特定年の実績や県全体の期間ではありません。JA淡路日の出は購入受付終了の掲示があるため、現在の販売を案内する表ではありません。
出荷期間が長くても、畑で同じ長さの期間にわたり収穫しているとは限りません。収穫後の貯蔵が、その先を支えます。
玉ねぎは、外皮と首を乾かし、貯蔵して出荷を待つ
JAきたみらいが2025年4月号で紹介した栽培では、収穫はおおむね7月下旬以降に最盛期を迎え、10月上旬まで作業が続きます。一方、出荷は8月から翌年6月まで続きます。収穫と出荷の期間が違う例です。
収穫後は、玉ねぎを乾燥させ、選別して貯蔵へ回します。乾燥させるのは、主に外皮と「首」です。首とは、球の上で葉がまとまっている細い部分のことです。貯蔵前にこの部分を乾かす処理は、保管中に病原体が広がるのを抑えるのに役立ちます。中身まで乾燥食品にする処理ではありません。
JA淡路日の出では、収穫した玉ねぎを小屋につるし、自然の風で乾燥させる方法を紹介しています。冬の出荷案内には冷蔵品もあります。
JAきたみらいでは、選別・乾燥・冷蔵貯蔵を担う施設を使い、長期保管して出荷しています。すべての産地や商品が同じ設備を使うわけではありません。

産地のリレーは「収穫する時期」をずらし、貯蔵は「送り出す時期」を伸ばします。
玉ねぎの貯蔵では、庫内の空気も管理する例がある
JAきたみらいには、CA貯蔵という方法もあります。これは、保存する庫内の酸素などの気体や湿度を調節する方法です。玉ねぎの呼吸を抑え、芽が伸び出す前の休眠期間を長く保ちます。
温度を管理する冷蔵と、空気の組成も調整するCA貯蔵は区別して考えます。紹介されているのは同JAの施設の例で、店頭の玉ねぎがすべてこの方法を使っているわけではありません。
こうした収穫後の仕事も、季節を越えて玉ねぎを届ける仕組みの一部です。
まとめ:玉ねぎは、産地リレーと貯蔵を組み合わせて届く
玉ねぎが一年中買える理由は、北海道・佐賀・兵庫などの産地が、栽培の時期や品種を変えて作り、収穫後には乾燥・貯蔵を経て出荷をつないでいるからです。
2025年の東京市場でも、産地の入荷は重なっていました。三つの県だけでなく、ほかの国内産地や海外からも届いています。

玉ねぎの栽培と、新玉ねぎの違いも確認する
畑で育てる順序は玉ねぎの種まきから収穫・乾燥まで、早く出荷する玉ねぎとの比較は新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いで解説しています。
他の野菜については、レタスの産地リレーと、トマトが一年中届く仕組みでも解説しています。
冬に届く北海道の玉ねぎにも、前の夏や秋に収穫して貯蔵したものがあります。一年中買えるのは、産地ごとの収穫と、収穫後に送り出す仕事がつながっているからです。
参考・出典
いずれも2026年10月1日確認。各地の作業・出荷例と、2025年東京市場の実績を分けて扱っています。
- 東京都中央卸売市場「野菜の産地リレー」:気候差と集荷の説明。掲載データの年度とは別に原統計を確認。
- 東京都中央卸売市場「2025年青果明細データ」:sheet「2025」、品目コード366000、9市場合計。最新の完結年2025年。集計はbest earth編集部、数量はkgからトンへ換算。
- JAきたみらい「きたみらいの玉ねぎ」:公開日未確認。苗づくり、品種構成と地域の出荷期間。
- JAさが「野菜・タマネギ」:公開日未確認。品種と出荷の紹介。
- JA淡路日の出「淡路島たまねぎ」:公開日・年度未確認。地域の栽培例、乾燥と商品別の出荷案内。
- JAきたみらい執筆「日本一のたまねぎ産地」:ALIC「野菜情報」2025年4月号。JA販売企画部による収穫・出荷・貯蔵施設の現場記録。
- ミネソタ大学普及部「Postharvest handling of fruit and vegetable crops in Minnesota」:公開日未確認、Curing節。貯蔵前乾燥の説明。温度・処理日数は日本の手順へ転用していない。
編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

