スーパーの産地表示を見ると、夏は長野県、冬は茨城県というように、レタスの出身地が変わります。同じ野菜なのに、なぜ一年中同じ場所から届かないのでしょうか。
先に答えると、レタスは冷涼な気候を好むため、春と冬は比較的温暖な地域、夏秋は標高の高い涼しい地域が出荷を担います。複数の産地が季節ごとにつなぐ仕組みを「産地リレー」と呼びます。
これは、遠くから運ぶことだけを目的にした仕組みではありません。レタスが育ちやすい気温を、日本列島の緯度や標高の違いで追いかけた結果です。

日本のレタスは、季節に合う地域が出荷をつなぎます
レタスは一年中売り場にありますが、一つの畑が一年中収穫しているわけではありません。種をまき、苗を植え、葉を育て、収穫できる時期には限りがあります。
そこで、季節ごとに条件の合う地域が生産を担います。農林水産省の資料では、春レタスは4〜5月、夏秋レタスは6〜10月、冬レタスは11月〜翌3月という区分が使われています。
ここで大事なのは、「レタスの旬がない」のではなく、地域ごとの旬がつながって一年中届くということです。

春と冬のレタスは、比較的温暖な茨城などが支えます
冬から春は、寒さが厳しすぎない地域が中心になります。関東農政局の令和5年産資料では、春レタスと冬レタスで茨城県坂東市が管内の市町村別収穫量の1位でした。
茨城県のような比較的温暖な平地では、夏の高温期を避けながら、秋から春の作型を組みやすくなります。ただし、同じ県内でも品種、種まき時期、トンネルなどの資材利用で収穫時期は変わります。
産地表示を見て「冬のレタス=茨城だけ」と覚える必要はありません。大切なのは、寒い季節には、冬でも育てやすい地域へ主役が移ることです。

夏秋のレタスは、長野・群馬などの高冷地が支えます
平地が暑くなる夏は、標高の高い地域が力を発揮します。標高が上がると気温が低くなるため、長野県や群馬県の高冷地では、夏でもレタスが育ちやすい期間を確保できます。
関東農政局の令和5年産資料では、夏秋レタスの市町村別収穫量で長野県川上村、群馬県昭和村、長野県南牧村が管内上位でした。これは地名の人気ランキングではなく、季節区分別の収穫量です。
夏のレタスの産地表示に山間部の地名が増えるのは、標高の涼しさを利用しているからです。

レタスの産地リレーは、畑の収穫時期を売り場へつなぎます
畑で収穫したレタスは、選別・箱詰めされ、集出荷施設や卸売市場などを経て小売店へ届きます。どの経路を通るかは産地や取引で異なりますが、鮮度が落ちやすい葉物を予定どおり届けるには、収穫と出荷をそろえる必要があります。
産地が切り替わる境目では、前の産地の出荷が減り、次の産地の出荷が増えます。天候で生育が早まったり遅れたりすると、切り替わりや価格にも影響が出ます。
つまり産地リレーは、地図上の産地を並べるだけではありません。各地の畑の収穫時期と、売り場が必要とする時期をつなぐ流通の設計です。

産地表示を見ると、レタスの季節と地形が見えてきます
レタスの産地は、冬春の温暖な平地から夏秋の高冷地へ移り、気温が下がると再び温暖な地域へ戻ります。年間の切り替わりは、毎年まったく同じ日ではありません。


次に売り場で産地表示を見たとき、地名だけで終わらせず、「今の気温なら、なぜこの地域なのか」と考えてみてください。一玉のレタスから、日本の季節と地形が見えてきます。
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参考・出典
- 農林水産省 aff「もっと知りたい葉物野菜」(確認日:2026年9月19日)
- 農林水産省関東農政局「野菜指定産地主要品目の農業産出額及び季節別収穫状況(葉菜類)」(2025年、確認日:2026年9月19日)
- 農林水産省「野菜の産地リレー」(構造説明、確認日:2026年9月19日)
編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。
