レタスは畑と植物工場、どちらが環境にやさしい?水と電力の比較

畑と植物工場で作るレタスの環境負荷を比べる条件を問いかける編集画像

「植物工場は水を繰り返し使えるから環境に良い」「畑は太陽の光で育てるから環境に良い」。どちらも一部は正しい説明です。それでも、二つをその一言だけで比べることはできません。

先に答えると、畑と植物工場に普遍的な勝者はいません。畑は太陽光を使える一方、地域の水・土地・天候の条件を受けます。人工光型植物工場は水と土地を節約しやすい一方、照明と空調に電力を使います。

環境への影響は、栽培方式だけでなく、電気が何から作られたか、どれだけ収穫できたか、どこまで運んだか、設備を比較に含めたかで変わります。

畑=太陽・土地・水、植物工場=循環水・多段・電力という全体像
図1:畑=太陽・土地・水、植物工場=循環水・多段・電力という全体像。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。
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畑と植物工場には、すべての環境項目で勝つ方式はありません

環境負荷には、温室効果ガス、水使用、土地利用、資材、富栄養化など複数の項目があります。一つの方式が、水、電力、土地のすべてで同時に最小になるとは限りません。

たとえば、水を少なくできても電力が増える場合があります。輸送距離を短くできても、都市の施設で使う電源の排出量が大きければ、気候への影響が増える場合があります。

ここで大事なのは、「環境にやさしい」を一つの数字や印象へ縮めないことです。

水・土地・電力・資材・輸送の五つの比較軸
図2:水・土地・電力・資材・輸送の五つの比較軸。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

人工光型植物工場は、水と土地を抑えやすい方式です

人工光型植物工場では、肥料を溶かした水を循環させる水耕栽培が多く使われます。排出や洗浄で失う分はありますが、根を通った水を回収しやすく、畑のように土全体へ水を配る必要がありません。

また、棚を重ねる多段栽培では、同じ建物の床面積から多く収穫できます。土地利用の効率が高いことは、植物工場の明確な強みです。

ただし、論文で示された「何倍」という値を別の施設へそのまま移すことはできません。棚数、収量、栽培期間、比較した畑の場所が違えば値も変わります。

循環する水と多段棚による面積利用を示す図
図3:循環する水と多段棚による面積利用を示す図。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

人工光型植物工場は、照明と空調の電力が弱点になります

閉鎖型の施設では、太陽の代わりに照明を使い、照明から出る熱を空調で取り除きます。水を送るポンプや換気・除湿にも電力が必要です。

そのため、多くのライフサイクル評価では、電力が植物工場の温室効果ガス排出を大きく左右します。再生可能エネルギーの比率が高い電力と、化石燃料の比率が高い電力では、同じ施設でも結果が変わります。

「植物工場だから高負荷」と固定するのも正確ではありません。照明効率、空調、収量、電源の改善で負荷は変わります。正しくは、電力が弱点になりやすく、同時に改善余地も大きいということです。

照明・空調・ポンプと電源構成の関係
図4:照明・空調・ポンプと電源構成の関係。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

畑のレタスは自然光を使いますが、地域と季節の条件を受けます

露地の畑は、光合成に必要な光を太陽から得ます。施設照明の電力が不要な点は大きな強みです。一方、雨の少ない地域では灌水が必要になり、肥料の流出や作業機械、被覆資材、収穫後の冷却・輸送も環境負荷に関わります。

また、レタスが育ちにくい季節に遠方から運べば、輸送が増えます。反対に、近隣の露地栽培でも、収量が低く廃棄が多ければ、食べられるレタス1キログラム当たりの負荷が増える場合があります。

畑は「自然だから負荷ゼロ」ではなく、地域の条件を活かせることが強みです。

太陽光の強みと、水・肥料・輸送の条件を示す図
図5:太陽光の強みと、水・肥料・輸送の条件を示す図。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

環境比較は、同じ量・同じ範囲・同じ時期でそろえます

比較では、まず「レタス1株」なのか「出荷できる1キログラム」なのか、ものさしをそろえます。次に、種苗から栽培までか、包装・輸送・廃棄まで含むか、範囲をそろえます。

さらに、夏の地元産と冬の遠距離輸送を同じ条件として扱わないことが重要です。研究ごとに結論が違うように見えるのは、施設性能だけでなく、地域・季節・電源・輸送・比較範囲が違うからです。

機能単位・範囲・地域・季節をそろえる比較手順
図6:機能単位・範囲・地域・季節をそろえる比較手順。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

レタスの環境負荷は、生産から売り場までの組合せで決まります

畑か植物工場かという二択より、どの地域で、どの季節に、どの電源と水を使い、どこへ届けるかを見る方が正確です。

生産方式+地域+電源+輸送+収量を一枚にまとめた完全版
図7:生産方式+地域+電源+輸送+収量を一枚にまとめた完全版。AIによるイメージをもとにbest earth編集部作成。概念図。

買い物の場で個々の環境負荷を完全に判定することはできません。それでも、「水が少ないから必ず良い」「自然光だから必ず良い」と決めず、何を比べた説明なのかを見るだけで、環境情報をかなり正確に読めます。

次に読む疑問

参考・出典

編集・図解:best earth編集部。アイキャッチはAIによるイメージです。本文図は記載した資料をもとに、AI画像生成で絵と短い日本語を一体作成し、編集部が文字・順序・因果関係を照合した概念図です。実在する人物・農場・企業・商品を再現した画像ではありません。

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この記事を書いた人

best earth編集部のアバター best earth編集部 食べものの疑問を、農業から読み解く編集部

食べものの「なぜ?」を、農業から解き明かす編集部です。公的機関・大学・研究機関などの一次情報を確認し、作り方、育つ仕組み、産地、環境、技術を図解でわかりやすく紹介します。

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